日本では、バブルがはじけて以降不動産価格は低下の一途を辿っています(東京オリンピックを控えて最近少し回復?)が、ニュージーランドの都市部では不動産価格がずっと上昇しています。こんな広い土地にこんなに少ししか人がいないのであるから、土地はタダみたいなものだろうと考えると大間違いです。商業用不動産なら、収益還元法で理論的な価格を計算できますが、住宅地はそうではなく、人気で決まります。どんなに国土が広くても、誰もが住みたいと思う場所は限られていて、価格も決して安いとは言えません。しかし、人気のない場所や辺鄙な所は、確かにすごく安いです。ですが、日本だって過疎の村の立派な作りの農家を数百万円で買えたりしますから、同じではないでしょうか。例えば、フィティアンガの住宅地で最も高いのは、マーキュリー湾に面した砂浜に沿った一帯です。海の景色が素晴らしいですが、2005年時点で800-1000平方メートルの敷地と、3から4ベッドルームのしっかりした家なら100万ドル以上しました。2018年現在では、土地100万ドル、家100万ドルといったところです。日本の人口5千人の浜辺の町で、土地はもっと狭いでしょうが土地付き一戸建てはもっと安く買えると思います。
フィティアンガは、ニュージーランドでも人気のマリンリゾート地なので、宅地開発も盛んです。ウォーターウエイ・プロジェクトという宅地開発では、海から運河を引いて、各家の裏庭に面した運河に浮きバースを置いて船を出せるようになっています。600平方メートル程度の区画が50万ドルから80万ドル位するようです。普通の人は、こんな高い所に住むことは出来ませんが、海岸から少し離れた場所なら、平均的広さの一戸建てで安い物件は40万ドルくらいからあります。
ニュージーランド唯一の都会と言えるオークランドでは、アジア等からの移民ラッシュで2015年頃から不動産バブルが発生し、若い人が家を買えず政治問題化しています。2017年に労働党が政権を取り、移民政策や住宅政策を変更したので少し鎮静化しているようですが、すでに猛烈に値上がりしてしまっているので大変です。フィティアンガの不動産が高騰していると言っても、それと比べればまだ穏やかと言えます。
下の写真は、フィティアンガの隣町タイルアにあるパクと呼ばれる海に突き出した小山。パクのどの地点からでも眺望がすばらしく、人気も不動産価格も凄く高いです。